トランプ米政権は、昨年11月に再発動したイラン産原油禁輸の制裁に関し、日本など8カ国・地域に認めていた適用除外措置を打ち切った。これにより、今後は全ての国が制裁の対象となる。

 敵対するイランへの制裁の一環で、イラン経済の根幹である原油収入を完全に断ち、核兵器開発の禁止やミサイル開発、テロ支援の中止を迫る狙いだ。

 これに対し、イランは徹底して抵抗する構えをみせており、対立激化は避けられそうにない。

 加えて、禁輸措置の新たな対象国の中には制裁に反対する中国やインド、トルコといった大口輸入国が含まれており、これらの国々の動向も気掛かりだ。

 トランプ政権の一方的なイラン封じ込め策は、中東地域だけでなく、世界情勢も不安定化させかねない。国際社会は、米政権に強く自制を求めるなど緊張緩和へ尽力すべきである。

 トランプ大統領は昨年5月、イランと米英仏独中ロの6カ国とで結ばれた核合意からの離脱を表明。イランに中東への内戦への介入やウラン濃縮の停止など12項目の政策転換を求めたほか、11月にはイラン産原油の禁輸制裁も再発動した。

 ただこの際は、影響力の大きさを考慮し8カ国・地域については最大180日間、制裁適用を免除していた。

 米政府の推計では、イランは歳入の約4割を石油収入から得ている。これを失えば国家運営が行き詰まり、市民生活も一層窮乏することになるが、指導部は強硬姿勢を崩していない。

 最高指導者ハメネイ師は「必要なだけ輸出する」と述べるなど、禁輸に対抗していく方針を強調した。また、政府関係者は報復措置として、核合意からの離脱や核拡散防止条約(NPT)からの脱退も示唆する。

 イランは、内戦下のシリアに部隊を送り込むなど、中東での影響力を強めており、こうした行動が周辺国に脅威を与え、反発を招いている。

 だとしても、イランを孤立させれば核開発を再開しかねず、一気に緊張が高まることになる。核合意の存続を訴える欧州連合(EU)をはじめ、国際社会の支えが必要だろう。

 イランは世界第4位の原油埋蔵量を誇るだけに、市場への影響も懸念される。

 日本の石油元売り各社は禁輸に備え、イラン産の取引を停止し、サウジアラビア産などに切り替えている。このため、政府は「供給への影響は限定的」との見方を示すが、今後も安定供給を維持できるどうかは不透明だ。

 日本は、米国とはもとより、イランとも伝統的に友好関係にある。イスラエルやサウジなど中東諸国とも良好だ。米国とイラン双方の仲介役として、さらにはペルシャ湾岸地域の混乱回避へ、果たすべき役割は小さくない。