偶然通りかかった店の前に行列ができていると、さほど関心があるわけでもないのに並んでしまう。心理現象の一つで「バンドワゴン効果」と呼ばれる。音楽隊の車(バンドワゴン)に連なりぞろぞろと歩く見物人になぞらえたらしい

 東京五輪の観覧チケットの抽選申し込みが、きのう始まった。専用サイトにはアクセスが殺到し、終日つながりにくかったという。先着順の購入ではなく、抽選権を得るための申請で、焦ることはないのに。混雑と聞き、慌てて手続きに走った人も多いのだろう

 筆者もその口である。1年余りも先のこと、そもそも休みが取れるのか。疑問を感じつつ何度もサイトをのぞいた。午後7時で順番待ちは14万3071人

 どの競技に申し込むか思案していて、改めて気付いた。入場料が案外高い。席の種類で幅はあるが、決勝ともなると人気競技は1万円を超える。開会式の最高額は30万円ときた

 1964年東京五輪の開会式は、最高で8千円だった。労働者の平均年収はおおむね現在の10分の1だから、今なら8万円前後になろうか。3・8倍の高騰ぶりに、商業五輪の断片が見える

 チケット選択ではバンドワゴンの後ろに続かず、比較的安価なマイナー種目にしよう。そう決めてから8時間、ようやく申請が済んだ。焦る必要など全くなかったのだけれど。