アスリートの誰もが憧れる五輪の舞台。56年ぶりに日本で開かれる2020年東京大会まであと1年半となった。選手にとって自国開催の五輪は格別な大会となる。各競技の代表を巡る争いは、今年がいよいよヤマ場。徳島県関係の選手も悲願の五輪出場へ意欲を燃やす。サッカー女子で代表入りが有望な市瀬菜々選手(マイナビベガルタ仙台レディース)にスポットを当てた。

写真を拡大  日本代表の主力に成長し、東京五輪出場を目指す市瀬=仙台市

 身長は160センチとディフェンダーとしては小さめ。仲間と話すときは笑顔が絶えない。そんな21歳がサッカー女子日本代表「なでしこジャパン」のセンターバックとして、外国の大柄な選手の前に立ちはだかる。

 「日本開催の五輪を経験できる人は少ない。出場して金メダルを取りたい」。東京五輪の代表入りはもちろん、頂点を見据えた語り口は自信に満ちている。

 2017年4月になでしこデビューを果たした。18年は招集された12試合中9試合で先発出場。女子ワールドカップ(W杯)出場が懸かった4月のアジア杯でも決勝を含む4試合にフル出場し、日本の大会2連覇に貢献した。

 相手の動きを予測し、的確な判断で危機を回避する能力が高い。目指すのは誰からも信頼される選手。なでしこで最終ラインを組む熊谷紗希(リヨン)を手本とする。11年W杯で優勝し、ヨーロッパの強豪で活躍する熊谷のように「絶対的な存在になりたい」と話す。

 体格で上回る相手にどう勝つか。男子と一緒に練習していた川内中時代に守りの基本を身に付けた。名門の常盤木学園高(仙台市)に進学してからもレギュラーを獲得。各年代別代表に選ばれ、U―17(17歳以下)女子W杯で優勝した。

 何度も経験した国際試合では、身体能力に優れた外国選手への対応に手こずった。世界と渡り合うため、普段のチーム練習から意識しているのが体の使い方だ。「ぶつけるタイミング、セットプレーの競り合いで自由に跳ばせない寄せ方を身に付けたい」と言う。

 開催国として日本の東京五輪出場は決定している。18人の代表メンバー入りを目指す戦いは残り約1年半。6月に開かれるフランスW杯で結果を残せば五輪出場へ大きく近づくことは間違いない。

 年代別の代表で指導を受けた、なでしこジャパンの高倉麻子監督からの信頼は厚いが、緩みはない。「定位置を確保したとは思っていない。チームや代表合宿でアピールしなければ」と強い決意を示す。

 高校進学から徳島を離れて間もなく6年。「徳島は好きな場所。お世話になった人に成長した姿を見せたい」と活躍を誓った。