サッカー選手の誰もが憧れるワールドカップ(W杯)の舞台に、徳島県出身選手が立つことになった。

 サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」の23人に徳島市出身のDF市瀬菜々選手(21)=マイナビ仙台=が選ばれた。県出身者では男子も含めて初めての選出で、徳島のサッカー史に新たなページが刻まれる。

 W杯は4年に1回行われ、6月に始まる今回はフランスが舞台となる。日本は前々回の2011年に優勝、15年に準優勝している。市瀬選手は代表決定後の記者会見で「もう一度、世界一に輝けるよう頑張る」と力強く語った。高い目標に向かって力を出し切ってほしい。

 主に守りの最終ラインを担う市瀬選手は身長160センチと上背はないものの、相手の動きを予測し危険を回避する能力が高い。試合中は常に顔を左右に振り、味方と敵の位置に目を配る姿が印象的だ。

 身体能力に優れる外国の選手への対応もうまい。高さがない分、体をぶつけるタイミング、競り合いで相手を自由にさせない寄せ方を工夫してきた。

 日本は4月に行った欧州遠征の2試合で5失点し、守りの立て直しが急務となっている。けがのため、この遠征に参加できなかった市瀬選手の復帰はチームにとって大きい。私たち県民も、その活躍に注目している。

 市瀬選手のほかに、W杯予選となるアジア杯で日本の優勝に貢献した松茂町出身の増矢理花選手(23)=INAC神戸=も代表入りが待望された。今回は選考から漏れたものの、代表復帰を目指して再び存在感を示してほしい。

 2人の活躍は、徳島の女子サッカーが高いレベルにあることを物語っている。

 県内で2人がプレーしていた当時から、徳島では女子サッカーが盛んだった。中学年代の四国代表には徳島の多くの選手が名を連ね、卒業後は他県の強豪高校に進んだ選手もいる。

 今では鳴門渦潮高校が有望選手の受け皿の一つになり、全国大会で好成績を収める強豪になりつつある。市瀬選手のW杯出場によって、徳島の女子サッカーはさらに活性化するだろう。

 注目の日本の初戦は、6月10日(日本時間11日)に行われる1次リーグのアルゼンチン戦。国際サッカー連盟(FIFA)ランキング7位の日本としては、37位の同国に勝って、続くスコットランド(20位)、イングランド(3位)との戦いに弾みをつけたい。

 心配されるのは平均年齢24・17歳という若さである。世代交代が進み、W杯初代表は市瀬選手を含め17人に上る。輝かしい成績を残した過去2大会とは顔触れも戦術も、がらりと変わる。

 「何かのきっかけで爆発的な力を発揮してくれそうな選手もいる」と語る高倉麻子監督。新たなヒロイン誕生に期待し、声援を送ろう。