地方を中心に全国で社会問題化している空き家の増加に歯止めがかからない。

 中でも徳島県は深刻な状況だ。総務省が2018年に行った住宅・土地統計調査で、住宅総数に占める別荘などを除いた空き家率が、和歌山県に次いで全国ワースト2位の18・6%だった。

 管理が行き届かないまま空き家を放置すれば、災害時に倒壊して避難路をふさぐなど防災上のリスクが高まる。

 犯罪者が空き家に入り込んだり、放火の危険性が高まったりと、治安の悪化にもつながりかねない。

 急速に進む過疎高齢化と人口減により、空き家は今後も増え続けるに違いない。

 県内市町村は、それぞれの地域コミュニティーを維持するためにも、総力を挙げて空き家の解消を図っていく必要がある。

 残念なのは、総務省の調査が建物の外観を基に人が住める状態の家屋だけを対象としており、空き家の実態を正確に把握できないことだ。

 柱や屋根が壊れた空き家を加えると、さらに厳しい現実が明らかになるだろう。

 空き家増加の背景には、国が景気対策として新築重視の住宅政策を進めてきたことも忘れてはならない。

 1人暮らしの増加で、住宅需要は伸びているにもかかわらず、新築の供給が過剰なため、住む人がいなくなった家屋の流通や解体が進んでいないということだ。

 空き家の放置は、自治体が超高齢、人口減少時代に対応したまちづくりを進める上でも支障を来しかねない。

 国はこれまで以上に事態を重く受け止め、空き家問題の抜本的な解決に向けた、実効性のある仕組みを整えてもらいたい。

 15年に全面施行された空き家対策特別措置法は、危険な家屋を強制撤去できる権限を自治体に与えた。

 だが、それぞれの自治体に手続きを進める際のノウハウが乏しく、権限を十分に活用できていない。

 強制撤去などの代執行に踏み切ったとしても、所有者から撤去費用を全額回収できた自治体はわずかだ。

 この際、地域の安全やまちづくりに悪影響を及ぼす家屋は、所有権を一定の範囲で制限するなど、踏み込んだ制度改正を検討してはどうか。

 開発が制限される「市街化調整区域」で増えている空き家に関しても、一定の条件付きで活用を認める規制緩和策が必要だ。

 就農希望の移住者向けに、農地と空き家をセットで提供できる柔軟な仕組みづくりも有効だろう。

 全国の自治体では、固定資産税の情報で所有者の特定率を高めたり、撤去費用を分割払いにして回収率を上げたりするなど、独自の施策で空き家の増加に歯止めをかけた成功事例もある。

 そうした情報を自治体が共有できる環境整備も早急に進めてもらいたい。