夕焼けに染まる空と川面に浮かぶ那賀川鉄橋=阿南市那賀川町

 1916年に公開された米国のモノクロの無声映画「イントレランス」。足場を組んで巨大なセットを見下ろすように撮影した映像は、見る人に強い印象を与えた。

 そのことから、俯瞰撮影をする際の足場は「イントレ」と呼ばれている。高い位置からの撮影は、アイレベル(人の立ち位置の視線)とは違った視覚効果を生み出せるため、今でもよく使われる撮影手法になっている。

 阿南市にある国道55号阿南道路(阿南バイパス)の那賀川、桑野川両大橋は、4車線化工事が進められている。橋は地上よりも相当高く造られており、俯瞰した周辺の光景を撮影できるポイントになる。

 日没前に真新しい歩道を通り、那賀川大橋に上がった。那賀川の上流に目を向けると、赤く染まる空に水面はうっすらと色づき、JR牟岐線の那賀川鉄橋やその奥の大京原橋、川面に映る鉄橋の影が見えた。

 那賀川鉄橋は、1936年3月に国鉄・牟岐線の羽ノ浦―桑野間が開通したのに合わせて使用が始まった。戦時中の45年7月には通過中の列車が米軍の艦載機から銃撃を受け、乗員乗客32人が死亡した悲劇の舞台でもある。

 そんな歴史を思いながら、今はただ美しい光景と出合えた喜びをかみしめている。