こういう配慮をせずにはいられない心根を「植民地根性」と言う|。言い切ってはみたが、これには説明が必要だ

 日本に駐留する米兵らの事件を巡り、日米両政府は1953年、「重要な案件以外、日本側は裁判権を放棄する」との密約を結んだ。実際、その後5年間に起きた事件1万3千件のうち、実に97%の第一次裁判権を放棄したことも明らかになっている

 法務省は、駐留米兵らを起訴する場合、事前に検事長や検事総長、法相の指揮を受けるよう命じる内規も定めた。検察内部で裁判権放棄の密約を、周知徹底させるためだ

 さて、ようやく今回発掘された新事実にたどりついた。54年の法務省内規の該当箇所が、60年には削除されていたという。「外部に漏れたら恥ずべき事態になる」と、当時の岸信介首相が国民の反発を恐れたとされる密約が解消されたわけではない

 逆に、その運用が定着したからこそ、内規でしばる必要がなくなったのである。わずか数年で、米国の機嫌ばかり伺う植民地根性が、骨の髄までしみこんでしまった。主権を自ら放棄して、疑問に思わない、思考停止の時代が始まるのである

 沖縄などで、米軍関係者が問題を起こすたび問題になる日米地位協定も、60年の調印以来、一度の改定もない。占領軍の亡霊と、いつまで付き合い続けるつもりだろう。