牟岐町観光協会などは、今年の開催中止が決まった「出羽島アート展」に代わる観光イベントを、3月4日から26日までの土日限定で開く。観光ボランティアや島民有志、町活性化支援団体などがスクラムを組み、多彩な体験型の行事を実施。国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定される漁村集落の散策などを通して、島の魅力を発信する。
出羽島にある交流施設「波止の家」で21日、町観光協会の庄野二六(にろく)会長や町職員、町民ら14人が、行事日程や内容などを協議。3月19日をメインに、土日曜の計8日間開くことを決めた。近くイベントの名称を決め、広報チラシを作って周知を図る。
町観光ボランティアガイドの会は、島の案内を担当。昨年10月に重伝建選定が決まった出羽島をじっくり歩いてもらい、縁側が雨戸にもなる「ミセ造り」の民家など、島独特の建築文化や漁業で栄えた歴史を解説する。
町活性化支援に取り組む大学生でつくるNPO法人「ひとつむぎ」は、19日に絵本の読みきかせやストーンペイント体験、島民の暮らしぶりをまとめたパネル展を開く。
2015年のアート展に参加して以来、町活性化に携わっている調理師の神先(かんざき)岳史さん(30)=神山町下分=は「波止の家」でカフェを開く。島民有志にも手伝ってもらい、牟岐町産の魚を使ったフィッシュバーガーなどを販売する計画だ。
町観光協会は「波止の家」のカフェ以外にも、出羽島の住民に協力を依頼。古くから伝わる「出羽島小唄」の体験教室開催などが候補に挙がっており、島ぐるみのイベントとしたい考えだ。
出羽島では13年以降、アート展が開かれていたが、運営を担っていた町商工会が昨春、撤退を決定。住民有志が継続を目指したものの、準備不足などを理由に今年の開催を見送っていた。
町観光協会の庄野会長は「重伝建の選定効果も踏まえ、島を離れた元住民やアート展に来てくれていた方々が、もう一度島に訪れてくれるとうれしい」と話している。