鳴門市大麻町に居着いているコウノトリのペアが21日、巣の材料となる木の枝を拠点としている電柱上に運ぶ姿が確認された。雄が雌の上に乗る「マウンティング」と呼ばれる交尾の兆候も見られ、繁殖シーズン(2~5月)を前に「今年こそは」と地元住民の期待が高まっている。
このペアは昨年3月に産卵まで至った雌雄で、4月以降は一時期離れ離れになっていたものの、再び寄りを戻した。複数の観察者によると、2羽は午前9時ごろから周辺で枝をくわえて電柱に運び始めた。強風で枝が落ちても10回以上根気よく運び、くちばしで巣を整えていた。
正午ごろには交尾の兆しとされるマウンティングも見られたが、その後、巣作りを中断し、夕方まで周辺で餌をついばむなどして過ごした。
昨年の場合、巣作りが本格化したのは3月上旬。日本野鳥の会県支部は本格的な巣作りはまだ先とみており、「巣作りが本格化すれば、くちばしを鳴らすなどの求愛行動が見られるはず。今回は別の個体が近くを飛ぶなど外的要因が働いたのでは」としている。
観察していた鳴門市大麻町桧、パート従業員浅野由美子さん(43)は「巣材運びは本番に向けたリハーサルのようだったが、絆は確実に深まっていると思う」と話していた。