市民が刑事裁判の審理に参加する裁判員制度の開始から21日で10年となる。徳島地裁では、今年3月末時点で「殺人・殺人未遂」「強制わいせつ致傷」など74件(76被告)の審理があり、450人が裁判員や補充裁判員として参加した。裁判員候補者に選ばれたものの、仕事などを理由に辞退した人の割合(辞退率)は2018年12月末時点で69・80%(全国62・5%)だった。

 徳島新聞のまとめでは、徳島地裁での裁判員裁判の実施状況は≪グラフ≫の通り。対象事件で最も多かったのは「殺人・殺人未遂」の26件(35・1%)。強制わいせつ致傷などの性犯罪が18件(24・3%)、現住建造物等放火13件(17・6%)、強盗11件(14・9%)と続いた。

 実刑判決は55件(57被告)と74・3%を占めた。求刑の刑期(無期懲役の1件除く)に対して量刑は約25%軽減され、8割前後とされる量刑相場とほぼ同じだった。求刑を上回ったのは2件、求刑通りの判決は1件だった。

 性犯罪に対する厳罰化の傾向がみられ、11年の強制わいせつ致傷事件の判決では裁判員制度導入後、初めて求刑を上回った。車に無理やり連れ込むなどして女性3人に性的暴行を加えた男を懲役9年(求刑同8年)とした。12年には、6人の女性にわいせつ行為をして強姦致傷の罪などに問われた元自衛官の男に対し、求刑通り懲役13年を言い渡した。

 判決が高松高裁で変更されたケースは、15年に妻の首をカッターナイフで切り付けて殺害しようとした男の殺人未遂事件1件のみ。懲役6年の一審判決は破棄され、懲役5年6月で確定した。

 裁判員候補者の辞退者は少なくない。候補者に選ばれた7795人に対し、5441人が年齢や仕事を理由に辞退。選任手続きに出席を求められた候補者2932人のうち、足を運んだのは2041人で、出席率は69・61%だった。

 参加促す施策を

 裁判員制度に詳しい専修大・飯考行教授(法社会学)の話 求刑を超える判決も出されており、裁判員が真摯に判断している表れだろう。一方で辞退者が増えれば、さまざまな社会的立場の人に多角的な視点から判断してもらうという制度の趣旨が損なわれてしまう。官民で参加を促す取り組みが必要だ。