文化庁の「日本遺産」に21道府県の16件が新たに認定され、徳島県からも、阿波藍に関連する複数の文化財や栽培、藍染技術などをひとまとめにした「藍のふるさと 阿波」が選ばれた。

 本県にとっては絶好のタイミングと言える。2020年東京五輪・パラリンピックの公式エンブレムに藍色が採用され、藍の本場を官民挙げてアピールしているさなかだからだ。

 国内外から観光客を呼び込み、藍の魅力をさまざまな手法で伝え、感激してもらえるように取り組みを充実させていきたい。

 日本遺産は、文化財保護を第一義とするユネスコの世界遺産とは異なり、有形・無形の文化財を共通のテーマでまとめ、観光振興を図る狙いがある。

 「藍のふるさと 阿波」は、藍住町や徳島市など9市町が連名で申請していた。温暖な気候や吉野川の豊かな土壌が藍を育み、江戸時代に隆盛を誇った藍商人が産業だけでなく、阿波人形浄瑠璃などの文化も支えた。深い歴史を一つのストーリーに仕立てたのが特徴だ。

 藍の染料「蒅」の伝統的な製造技術(上板町など)や国指定重要文化財「田中家住宅」(石井町)、うだつの町並み(美馬市)など、阿波藍の歴史と文化を物語る32件の建造物や道具、古文書などで構成している。

 単独で観光資源として成り立っているものもあるが、互いのつながりを示すことで魅力は一段と増すだろう。

 欠かせないのは、9市町が一丸となって取り組むことだ。国から支給される最大7千万円の交付金も活用し、連携体制を築いてもらいたい。

 政府は新観光戦略で、20年の訪日外国人旅行者数を4千万人に倍増させる目標を掲げている。日本遺産は、これらの旅行者を地方に呼び込むのを最大の目的としている。

 急増を続ける訪日外国人旅行者はいま、大都市だけでなく地方へと足を運ぶ傾向が強まっている。4年前に四国4県で認定を受けた「四国遍路」の人気は高い。藍が新たに加わったことで、大きな相乗効果が期待できるのではないか。

 文化庁は日本遺産の認定に際し、藍がジャパンブルーとして海外に注目されていることを重視。「日本らしさを世界に広げられる」と評価したのも心強い。

 本県は2年前、藍色の公式エンブレム採用を機に、東京五輪開幕日の7月24日を「とくしま藍の日」と条例で定めた。藍への関心や理解を深めるため、さまざまな活動を展開している。

 装飾品や化粧品、食品など、藍の用途はここ数年、県内で広がった。可能性はまだ大いにある。

 藍の魅力を十分にアピールするためには、伝える側がもっと藍を生かし、知る必要がある。日本遺産の認定を、その契機としたい。