事前の予想に反してプラス成長となったが、景気後退の懸念は晴れない。先行き不透明感も増しており、これまで以上に世界経済の動向を注意深く見守る必要がある。

 1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動を除く実質で前期比0・5%増、年率換算では2・1%増となった。プラス成長は2四半期連続だ。

 政府は「内需を支えるファンダメンタルズ(基礎的条件)はしっかりしている」との見方を示したが、この数字はGDPを算出する計算の関係でかさ上げされたものだ。景気の実態とずれが生じていることを認識し、リスクへの備えを怠ってはならない。

 日本経済は年明け以降、中国経済の減速に伴う需要減で輸出の落ち込みが目立ち、製造業の業績が悪化している。このため、1~3月期のGDPをマイナス成長と見込むエコノミストが多かった。

 プラス成長となったのは、輸入が10年ぶりの大幅減となり、輸出から輸入を差し引く「外需」が押し上げられたからだ。

 内需の両輪が想定以上の落ち込みとなった。近年総じてプラス基調だった設備投資が前期比0・3%減となり、個人消費も振るわず0・1%減だった。米中貿易摩擦による不安定な株価や相次ぐ食品値上げが節約志向を強めたと見られる。

 輸入も原油や天然ガスを中心に大きく減った。主要項目が軒並み停滞し、前向きに捉えられる内容ではない。

 さらに、気掛かりなのは米中協議の行方だ。米国による対中追加関税「第4弾」の発動が現実になれば、日本企業へのダメージは計り知れない。企業の業績悪化は設備投資やボーナスの減少を通じ、消費を冷やす恐れがある。悪循環に陥らないよう警戒を続けてもらいたい。

 内閣府は3月の景気動向指数で、基調判断を後退局面入りの可能性が高いことを示す「悪化」へと引き下げた。今回のGDP速報値も内実は変わっていない。

 とはいえ、まだ悲観する状況ではない。雇用や企業収益は高水準を維持している。4月以降の経済指標には改善がみられるほか、今後は2019年度予算の執行に伴い公共事業なども進むことで、内需の持ち直しが期待できる。

 プラス成長になったことで政府や与党内には「景気回復基調が裏付けられた」との受け止めが広がっている。その一方で、10月の消費税増税の実施については依然、延期論がくすぶる。

 政府は、増税対策として既に予算を組むなどさまざまな施策を講じている。延期すれば混乱を来すだけだ。

 政府はあす、5月の月例経済報告を発表する。どのような景気判断が示されても、GDPを根拠にした増税延期が説得力を持たなくなったことは確かだ。まして、選挙を意識しての延期論など到底容認できるものではない。