衆参同日選への臆測、観測がやまない。自民党内は衆院解散に前のめりになっている。その源泉は「今、ダブル選に持ち込めば、衆参共に確実に勝てる」という思惑だ。

 野党は侮られている。衆院解散を想定し、態勢づくりを急がなければならない。有権者に政権奪取の気概を示し、潔く審判を仰ぐ姿勢を見せるべきだ。

 衆院解散、同日選が現実味を帯びた発端は、17日の菅義偉官房長官の発言だ。定例会見の席上、野党による内閣不信任決議案の提出が「解散の大義」になるか否かを問われ、「当然なるのではないか」と答えた。20日に重ねて問われても「制度上は当然ではないか」と繰り返した。

 与党盤石の現状を考えれば、不信任決議案を一蹴せず解散の引き金とする流れなど、通常はありえない。

 菅氏は安倍晋三首相を支える政権の柱であり、慎重派として知られる。首相の意もくみ、先を見通して解散風を起こしたとみるべきだろう。

 野党側は、来月26日の会期末に合わせた不信任案提出を模索していた。しかし、菅氏発言によって、出せば自らの手で解散を引き寄せ、出さなければ逃げ腰の烙印を押される事態となった。

 安保関連法制や森友・加計問題など、政権与党の強引な国会運営は常態化している。それは、与党のおごりだけでなく、野党の「多弱」にも責任がある。野党側に失うものは何もないはずだ。菅氏の術中で萎縮すれば、有権者のイメージをさらに損なう。

 最大の焦点は野党共闘である。首相の側近、萩生田光一・自民党幹事長代行が消費増税延期と衆院解散の可能性に触れたのをきっかけに、立憲民主党の枝野幸男代表が、国民民主党などに対し、衆院小選挙区の候補者一本化に向けた協議を提案した。

 これにより、参院選に向けた野党5党派の準備も動き始めた。21日には、幹事長・書記局長会談で、参院1人区8選挙区での一本化に正式合意した。

 勝敗の鍵とされる改選1人区32のうち、調整中の残る4選挙区も「今月中に一本化を実現したい」(立民・福山哲郎幹事長)と、共闘態勢が整いつつある。

 来月19日には、1年ぶりに党首討論が設定される見通しだ。会期末を控えて、討論での対立から解散に至るシナリオが描かれているとの観測もある。

 安倍首相は2012年、当時の野田佳彦首相との党首討論で「近いうちに解散します」の一言を引き出し、政権奪還を手繰り寄せた。成功体験として深く頭に刻まれているはずだ。

 解散に大義はないと批判しても、すべては首相が握っている。「大義は一日あれば作れる」(自民・二階俊博幹事長)という言葉が、現実を言い当てている。野党は闘う態勢を整え、結束して活路を開くしかない。