傷口が化膿する時、多くはブドウ球菌が原因です。この細菌は皮膚・軟部組織、呼吸器、血液、中枢神経、骨・関節、消化器など様々な部位に感染して発病します。またブドウ球菌が産生する毒素によって食中毒や伝染性膿痂疹(とびひ)も夏に多く発生します。今月はブドウ球菌について考えてみました。

 ブドウ球菌が問題になるのは抗菌剤に対する耐性菌が多いことです。MRSAは代表的な耐性ブドウ球菌です。特に未熟児や新生児、外傷や手術後にMRSAに感染すると大変治り難い状態になります。

 ブドウ球菌は湿潤な環境を好み、健康な人でも30~50%の割合で鼻孔や腋窩、外陰部などに保菌しています。ブドウ球菌が存在していても発病していない状態を健康保菌者と言います。このような保菌者から抵抗力の弱い人に感染する場合があります。医療従事者の中にもブドウ球菌を保菌している人がありますから、病院内で未熟児や新生児、手術後の患者に接触して感染することがあります。

 一般社会でも耐性ブドウ球菌は増加しています。ブドウ球菌は存在しているだけでは病気ではありません。感染・発病して初めて病気なのです。特に耐性ブドウ球菌が存在していても発病していなければ、いたずらに抗菌剤を投与する必要はありません。

 ブドウ球菌は感染症を起こすと症状が重くなる場合が多いものです。耐性ブドウ球菌による感染症に対しては、感受性のある抗菌剤を選択して投与することが大切です。感受性の低い抗菌剤の使用は効果が無いばかりか更なる耐性を招くことがあります。抗菌剤の使用は慎重に行う必要があります。