国賓をもてなす宮中晩さん会のクライマックスは、天皇陛下のお言葉だ。かつては午後9時すぎ、NHKのニュース時間帯に始まった。「皇居から中継です」とライブで割って入った

 そろそろという時間が来ると、記者たちは宮内庁の記者室を出る。暗く迷いそうな順路を伝い、明るくまばゆい豊明殿へ。500畳を超える宴会場の隅っこで、その時を待った。やがて音楽がやみ、全ての視線が陛下に集まる

 デザートに移る直前のタイミングだったが、約20年前、「心置きなく食事を楽しんでもらう」との理由で、開宴冒頭に変更された。答辞を述べるゲスト側の負担を考慮したのだろう

 平成の晩さん会は、細部にまで上皇ご夫妻の心遣いがあった。音楽やメニューは言うに及ばない。テーブルの盛り花も相手国の国旗をアレンジし、上皇后さまが事前にチェックしていた

 豊富な外国訪問の経験から、優れたもてなしは取り入れてこられた。しかし、基本部分は不動。フランス料理にフランスワイン、食材はできる限り栃木県の宮内庁御料牧場産を用いる

 トランプ米大統領夫妻をもてなす晩さん会が迫った。その言動で世界を振り回す超VIPが相手である。歓迎のお言葉に注目が集まる。即位したばかりの両陛下にとっては、またとない晴れ舞台だ。令和流のおもてなしを拝見したい。