県内で唯一、住民が主体となって走らせている徳島市応神町のコミュニティーバス「応神ふれあいバス」が、運行開始から5年が過ぎた。この間の利用者は延べ2万2228人に達し、地域の高齢者の足として欠かせない存在に。一方、バスの乗車定員が8人と少ないため、やむなく利用を断ることもあり、車両の大型化が課題となっている。
ふれあいバスは車を持たなかったり、運転免許証を返納したりした高齢者の買い物、通院時などの交通手段確保が目的。住民有志が「応神ふれあいバス運行協議会」を設立し、2011年12月に運行を始めた。利用者は11年度が1131人、12年度4285人、13年度4108人、14年度4727人、15年度4684人、16年度が12月までの9カ月間で3293人だった。
藤田君子さん(83)=同市応神町古川=は4年前、バイクで転倒したのを機に免許証を返納して以来、週2回は利用している。「1人暮らしなので、ふれあいバスがなければ買い物にもリハビリにも行けない」と話す。
運行協議会の近藤佳子代表世話人(67)によると、現在の定期券利用者は60~90代の約80人。このうち20人程度が返納などで運転免許を持っていない。午前と午後の第1便は利用者が多く、定員超過で乗車を断ることもあるといい、「車両の大型化にしないと」と指摘する。
運行は市内のタクシー会社に委託しており、年間約350万円の経費がかかる。15年度の運賃収入は経費の1割にも満たない約31万円で、企業などからの協賛金が約25万円、国の「地域公共交通確保維持改善事業費補助金」が約98万円。不足分は、徳島市の「地域自主運行バス等支援事業補助金」約196万円で補っている。
近藤さんは「委託先に車両の大型化をお願いするには、100人程度の定期券利用者がほしい。PRに力を入れ、運行10年までに実現できるよう頑張りたい」と話した。