太布を織る会員(左)とコウゾの皮を裂き糸に紡ぐ会員(右)。中央は大沢会長=27日、那賀町木頭和無田の太布庵

 那賀町木頭地区に伝わる古代布・太布(たふ)の製造技術が、国重要無形民俗文化財に指定されることになった。国の文化審議会が27日、松野博一文部科学相に答申した。地元住民らでつくる阿波太布製造技法保存伝承会が、材料の楮(こうぞ)栽培から糸への加工、機織りまでを昔ながらの手作業で受け継いでいる点や、日本の衣服の歴史を知る上で貴重な資料であることが評価された。

 県教委などによると、太布は古代からある楮や穀(かじ)などの樹皮を織って作る丈夫な布。県内では遅くとも江戸時代には木頭地区や祖谷地方で盛んに生産されており、庶民の作業着や穀物を入れる袋に使われていた。

 各家庭で主に女性が生産を担い、販売して現金収入を得ていた。しかし、戦後は衣料事情の改善に伴って需要が減少。現在は全国でも製造技術がほとんど失われており、木頭地区が現存する貴重な例となっている。

 1984年に結成された伝承会では地域の名人から指導を受け、糸の材料となる皮をはぐために楮を蒸す「楮(かじ)蒸し」や、細く割いた皮をより合わせて糸を紡ぐ「績(う)み」、機織りなどの伝統的技術を守り伝えてきた。

 会員は50~80代の女性を中心とする7人で、同町木頭和無田の工房「太布庵」で毎週火曜に活動。国内外から訪れる見学者向けに機織りを実演したり、木頭中学校の地元の伝統を学ぶ授業で生徒を指導したりしている。

 県内では76年に「西祖谷の神代踊り」(三好市)、99年には「阿波人形浄瑠璃」(徳島、鳴門など7市町)が国重要無形民俗文化財に指定されており、今回が3件目となる。