ハンセン病と闘いながら創作活動を続けた阿南市出身の作家北條民雄(1914~37年)を顕彰する「北條民雄文学賞」(同市主催)の授賞式が28日、同市文化会館夢ホールであった。受賞者と選考委員による対談も行われ、市民ら約400人が耳を傾けた。
式では、「北條民雄様へ」で大賞に選ばれた森水菜(みな)さん(23)=熊本県阿蘇市、会社員=と、「流されて」で優秀賞になった太田貴子さん(41)=高松市、会社員=に、岩浅嘉仁市長が賞状を手渡した。
続いて、評伝「火花北条民雄の生涯」を書いた作家髙山文彦さんら選考委員3人と受賞者2人が対談。森さんは「親や友人にも話したことのなかった、足の障害への苦悩を、文章につづることに戸惑いもあった」と明かした上で、「大賞という評価を受け、これまでの苦悩と向き合うことができるようになった」と話した。
文学賞は、北條の生誕100周年と市合併10周年を記念し、2015年8月~16年2月に公募。全国から65編の応募があり、大賞1点、優秀賞2点、特別賞1点を選んだ。