北井上西部土地改良区の前理事長の自宅へ家宅捜索に入る県警の捜査員=午前8時、徳島市内

 北井上西部土地改良区と関連団体の北井上西部環境保全協会(いずれも徳島市国府町西黒田)で2015年度に約1千万円の使途不明金があった問題で、県警は30日午前、業務上横領の疑いで改良区前理事長の男性(72)の同市内の自宅を家宅捜索した。前理事長には、使途不明金の一部を着服した疑いが持たれている。

 午前8時すぎ、前理事長の自宅に捜査員5人が訪れ、妻に令状を示して家宅捜索に着手した。自宅内や敷地内に止めた軽トラックを約3時間かけて調べ、段ボール1箱分の関係資料を押収した。前理事長からも、徳島西署で任意で事情を聴いている。

 使途不明金のうち協会のJAバンクの口座から15年4~11月に5回にわたって引き出された計670万円について、改良区関係者が昨年3月、前理事長の着服が疑われると刑事告発し、県警が受理していた。告発状では「出金に明確な用途がなく協会の業務に要するものではないと思われる」と指摘している。

 捜査関係者らによると、前理事長の一存で改良区や協会のJAバンクの口座から現金を引き出すことができる状態だった。会計資料には、使途不明金の出金名目の多くが前理事長への「一時立て替え」となっていた。

 ただ、改良区や協会に残る会計資料だけでは具体的な金の流れが分からなかった。このため、強制捜査で前理事長が所有する資料を押収し、前理事長による着服がなかったかどうか実態の解明に乗り出すことになった。

 前理事長は、使途不明金が発生した当時の理事長で協会の代表も兼ねていたが、いずれも問題発覚後の昨年4月に退任している。

 前理事長はこれまでの徳島新聞の取材に「(出金した金は)揚水場を改修するための事前調査をしてもらったコンサルタント業者へのお礼などに使った。会計処理は不適切だったが、着服はしていない」と主張している。