徳島県警が昨年逮捕した容疑者のスマートフォンを押収し解析したところ、スマホに保存されていた被害者の顔写真の瞳に容疑者が映り込んでおり、重要な証拠になったことが分かった。瞳に映った人物の姿が犯行の裏付けになるのは珍しい。

 県警によると、写真は被害者の顔を至近距離で撮ったもの。被害者の瞳の中に白っぽい服を着た人影が浮かんでいることに捜査員が気付き、県警鑑識課に解析を依頼した。

 顔は暗くて肉眼では判別できなかったものの、画像処理ソフトで補正すると、スマホを構える容疑者や髪の生え際、服装、背後の建物の様子がはっきり分かるようになり、容疑の裏付けや撮影場所の特定につながった。

 画像は他の証拠と共に徳島地検に送付された。

 解析を担当した同課の浪花孝一写真係長は「瞳の中に人の姿が映っていることが想像できず、写真を見るまで半信半疑だった」と明かし、撮影機器の性能向上が背景にあるとして「容疑者に結び付く証拠はどこに隠れているか分からない。事件解決に向け、注意深く鑑識作業を行っていきたい」としている。