藍住町内に生活実態がないとして2014年8月の町議会の議決で失職した西岡恵子町議(67)が、議決の取り消しを町に求めた訴訟の控訴審判決が31日、高松高裁であった。生島弘康裁判長は、議決は違法とした一審徳島地裁判決を支持し、町の控訴を棄却して議決の取り消しを認めた。

 判決理由で生島裁判長は「選挙前の11年11月~12年2月は少なくとも50日程度、町内の自宅で寝食しており、近隣住民との交流や自治会活動もしていた」と指摘し、自宅を「日常生活の中心的な場所」と認めた。その上で「被選挙権の住所要件を欠いているとは言えない」とし、議決の決定は違法とした。

 高松市内で記者会見した西岡氏は「大変うれしい判決だ。もう上告せず、町民目線の議会運営をしてほしい」と話した。一方、町議会の森志郎議長は「判決文を見ていないので何とも言えない。上告については議会や弁護士と相談して決めたい」とコメントした。

 西岡氏は12年2月の町議選で4選したが、町議会は光熱水費などの調査結果から「選挙前の3カ月間は町内に生活本拠があったとは考えられない」とし、14年8月に「被選挙権を有しない」と本会議で議決。西岡氏は失職し、議決の取り消しを求めて15年3月に徳島地裁に提訴していた。

 議決の取り消しを認めた16年4月の地裁判決が出る直前の2月の町議選では、5選を果たしている。町側は一審判決を受けて5月に控訴していた。

 西岡氏は、10年4月にも町議会の議決で失職しており、このときの失職に伴う訴訟では敗訴が確定している。