将棋の羽生善治九段が歴代最多の勝利記録を打ち立てた。将棋界が注目されるたびに残念に思うのが、徳島県出身のプロ棋士がいない現状だ。

 プロ棋士への道は長く険しい。一般的にプロになるためには、関東と関西に設けられている養成機関の奨励会に入らなければならない。年1回、入会試験があり、1次は対局、2次は筆記と対局、面接がある。全国トップクラスの子どもたちが集い、奨励会に入るのすら容易ではない。

 入会後も厳しい戦いが続く。6級から始め、対局を重ねて規定の勝率を上回れば昇級・昇段していく。同じプロへ目指す人と戦うだけに、戦いは熾烈(しれつ)を極める。しかも、年齢制限の壁があり、21歳までに初段、26歳までにプロとなる四段にならなければ退会させられる。

 県内の棋士はこれまで、明治時代に活躍した美馬市脇町出身の小野五平12世名人(1831~1921年)や、名人戦で大山康晴15世名人に挑戦した美波町出身の灘(なだ)蓮照(れんしょう)九段(1927~84年)がいた。徳島市出身の武市三郎七段が2014年に引退してからは現役プロ棋士がいない。

 藤井聡太七段の活躍もあり、将棋界は注目を集めている。ぜひ徳島県からもプロ棋士が誕生してほしい。(卓)