那賀町は同町百合地区から朝生地区にかけての国道195号で、ドライバーの視界を妨げている沿道の杉を約1キロにわたって伐採する。国道沿いの那賀川は奇岩が連なり、鷲敷ラインと呼ばれる景勝地。視界を広げ、交通事故の防止とともに観光の振興にもつなげたい考えだ。
町は、杉が生えている沿道の敷地2万1722平方メートルを地権者から購入し、取得した場所から伐採する。用地取得費651万円を本年度当初予算に計上しており、近く伐採に着手し、2017年度末までの完了を目指す。
現場は切り立った山肌と生い茂った杉に挟まれ、昼間でも薄暗い。半円状のカーブを描いているため、見通しも悪い。
那賀署によると、13年にバイクが転倒する死亡事故が発生しているほか、車同士の接触事故などもしばしば発生しているという。荒天後には道に落木や落ち葉があり、スリップ事故などの危険があるとして、地元からも対策を求める声が上がっていた。
鷲敷ラインは、那賀川の急流で浸食された奇岩巨石が連なり「とくしま88景」などにも選ばれている。複雑な流れや景観から、カヌーの人気スポットとなっている。
町では「交通事故の防止が第一だが、渓流と奇岩が作り出す鷲敷ラインの景観は素晴らしく、町の魅力を知ってもらいたい」としている。