波静かな田尻浜。石が転がる浜と地層の露頭が作り出す光景を楽しめる=鳴門市瀬戸町

 大きな岩がオブジェのように海に向かって立ち、浜には波で削られた丸い石が転がっている。訪ねた日は波が静かで、澄み切った海中でゆらゆらと海藻が揺れていた。

 鳴門市瀬戸町の島田島の北東端にある田尻浜は、播磨灘に面した静かな浜だ。防波堤があるのですっと海へ出ることはできないが、海岸に沿って造られた遊歩道を通れば浜に下りられる。

 浜で目立つ大きな岩は、地表に現れた地層の一部である。岩の続きを追うと、さまざまな形を作り出しながら海へと続いているのが分かる。

 この地層は、紀伊半島から阿讃山脈、松山市へと延びる白亜紀後期の「和泉層群」。砂岩や泥岩、れき岩から成る層で、浜を歩いていると海藻に似たコダイアマモの化石の断片が転がっていた。

 防波堤に戻り、遊歩道を反対へ進めば黒御影石で作られた石碑が見える。1945年8月2日、太平洋戦争終結間近にこの沖で起きた悲劇を伝えている。

 石碑によると、由良要塞(兵庫県洲本市)に向かう予科練習生109人を乗せた船が米軍機の銃撃を受け大破。島田島や周辺の漁港から救助の漁船が向かったものの、82人の少年が命を失ったという。

 太古から現代までの長い歴史を間近に感じさせられる。