阿波踊りを踊る田辺聖子さん=1977(昭和52)年8月徳島市の紺屋町演舞場

 芥川賞受賞作「感傷旅行(センチメンタル・ジャーニイ)」や「ひねくれ一茶」をはじめ、人生や男女関係の機微を軽妙な筆致でつづったユーモア小説などで知られる作家で、文化勲章受章者の田辺聖子(たなべ・せいこ)さんが6日午後1時28分、胆管炎のため神戸市内の病院で死去した。91歳。大阪市出身。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は弟聡(あきら)氏。後日、東京と大阪でお別れの会を開く予定。

 樟蔭女子専門学校(現大阪樟蔭女子大)卒業後、会社勤務などの傍ら小説を同人誌に発表。1957年に「花狩」が「婦人生活」の懸賞小説で佳作となり、本格的な創作活動に入った。64年に「感傷旅行」で芥川賞。

 「私的生活」などで、男女の哀歓や独身中年女性の恋愛と生活を描写。大阪弁を駆使した明るい文体と人間への優しいまなざしで、庶民の生活感情をユーモアたっぷりにすくい取った。

田辺聖子さん

 雑誌連載した「女の長風呂」や、夫の川野純夫さん(故人)が登場する「カモカのおっちゃん」にまつわるエッセーでは、人生の妙味を朗らかに語った。

 徳島県藍住町出身の漫画家高橋孟(もう)さんが小説の挿絵を数多く手掛けた縁で、編集者らと阿波踊りの「カモカ連」を結成。1977年から84年まで徳島市の演舞場に踊り込むなど、たびたび徳島県内を訪れた。