香港の居酒屋「酒バー吟」で提供されているフィッシュカツ(ジェトロ徳島提供)

 かまぼこなど日本人に広く親しまれている練り物。徳島でもフィッシュカツや竹ちくわが県民食としてポピュラーだ。だが、国内の総生産量は1975年の103万トンから、2015年は47万トンと半分以下になった。

 こうした危機感もあり、業界ではいち早く海外輸出に取り組んできた。特に1970年代から米国などへの輸出が始まったカニ風味かまぼこ(カニかま)は、海外で爆発的にヒット。80年代には英国やオーストラリアのファストフード店で食材に採用され、86年には7万3千トンを輸出するまでに拡大した。今やカニかまを指す「SURIMI」は国際語となり、フランスや英国のスーパーで、海外で生産された商品が日常的に販売されている。

 海外生産へのシフトで輸出量はいったん減少したが、近年は再び増加傾向にある。財務省貿易統計によると、2012年の練り物の輸出額は51億円(数量7085トン)。17年は95・2億円(1万1千トン)で、5年間で約1・9倍となった。

 最大の輸出先は香港と米国で、それぞれ全体の約3割。現地生産品は原料にでんぷんを使う割合が高い傾向にあり、魚介類の使用が多い日本製品はおいしいと人気だという。

 練り物の輸出においては、欧米諸国が求める食品衛生管理の国際基準「HACCP(ハサップ)」への対応や添加物の規制、短い賞味期限、安価な海外生産品との競合などが課題として挙げられる。

 別所蒲鉾(かまぼこ)店(島根県)は無添加にこだわったかまぼこの輸出に加え、手軽に食べられる「お魚チップス」を開発。賞味期間が長い上に、魚介成分の割合がかまぼこより低いことから、欧州連合(EU)が水産品に求めるハサップ証明義務が免除となり、英国への輸出が実現した。

 池添蒲鉾店(徳島市)は従来、冷蔵7日だったフィッシュカツの賞味期限を、冷凍により8カ月まで延長。解凍しても食味や品質が落ちないように材料配合を変更した。今年4月に香港へ輸出し、韓国や米国への輸出も計画している。商品を扱う香港の居酒屋オーナーは「あぶって切るだけで一品料理として提供できる」と評価。現地では1皿約550円で順調に売れているという。竹ちくわでも、韓国のバイヤーが現地百貨店で対面販売を行う予定だ。

 練り物は日本各地で作られているが、徳島の練り物も独特の特徴を持つ。これを差別化のポイントとして営業をかけ、製造面ではハサップへの対応や賞味期限の問題をクリアすることなどが成功の鍵となるだろう。(佐川将平・ジェトロ徳島)