新元号になっても強さは本物だった。昨年、タイトルを奪われた同じ対戦相手に雪辱し令和最初の女流王位をつかんだ。「一つ一つの対局を頑張ってきた結果、集中力が途切れなかった。奪取できてよかった」。えくぼを作ってほほ笑んだ。

 30期の節目の女流王位戦。通算5期で得る「クイーン王位」の称号も手に入れた。「ファンあってのタイトル戦。応援してくれる皆さんのおかげで、長い歴史に名前を刻むことができた」と感謝の言葉を忘れない。

 徳島では3年連続の対局。自宅のある大阪市から高速バスで移動してくる際、窓から景色を眺めるのが好きだ。鳴門海峡に架かる橋、のどかな田園・・・。島根県出雲市出身ということもあり、地方のそんな景色に癒やされ、勝負への活力に変えた。

 昨年12月、駅で階段を踏み外し、左足のくるぶしを捻挫してしまうアクシデントも。年末年始に出雲の実家に帰り療養。兄の小さな子どもにも元気をもらった。まだ左足に体重をかけるとつらく、今シリーズは正座を崩しての対局を強いられた。4局とも熱戦となったが、集中力を切らさなかった。

 2013、16年に続く女流五冠。史上初の六冠獲得へ挑戦が始まる。「狙っているわけではない。今持っている自分の力より強くなるのが目標。結果が付いてくればベスト」と気負いはない。

 中学時代は卓球部に所属。来年の東京五輪へ向け盛り上がる選手たちの活躍にも心を躍らせている。妹の里見咲紀女流初段も同じ大阪市に住む。27歳。