まちづくり会の体験ツアーに参加し加茂谷地区に移住した松田さん=阿南市楠根町

 阿南市加茂谷地区の活性化に取り組む住民団体「加茂谷元気なまちづくり会」が、過疎や高齢化の進む地区を活気づけようと移住支援に力を入れ、成果を上げている。2014年12月から呼び込みを始め、県内外から6世帯20人の移住を橋渡ししたほか、東京のIT企業1社がサテライトオフィス(SO)を開設した。会員は一層の移住者誘致に向けて意気込んでいる。

 移住者は、県外組が東京都と大阪府、三重、神奈川両県からの各1世帯、県内組が阿南市の別の地区と、上勝町からの各1世帯で、世帯主の年齢は30代、40代、60代。移住後は農業やパン屋、庭師、会社員をしている。このほか、IT企業「ハノイ・アドバンスド・ラボ」(東京)が15年9月、古民家にSOを開設した。同会は空き家や遊休農地を紹介したり、農業を指導したりといった支援をした。

 同会は14年12月の東京を皮切りに、これまでに都内で2回、大阪で3回、就農相談会に参加して地区をPRしている。15年3月と16年3月には、「加茂谷体験ツアー」と題した2泊3日のお試し移住イベントを開催。計約20人が農作物の収穫を体験し、先輩移住者の話を聞いた。

 相談会やツアーの参加者に加え、先に移住した知人の紹介で移住を決めた人もいる。現在も3世帯が移住を検討しているという。

 16年7月に大阪市から夫婦で移住し、チンゲンサイを栽培している元デザイナー松田泰充さん(45)=阿南市楠根町金石=は「何の地縁もなかったが、ツアー参加後、何度か加茂谷を訪れて移住を決めた。周囲の人の温かい人柄が気に入っている」と話した。

 同会は12年12月に結成。現在は約50人が移住支援のほか、大井小学校(休校中)でのイベントの開催や、武蔵野大(東京)の学生による農業研修の受け入れなどに取り組んでいる。活動費用は産直市に共同出荷した収益の5%を充てており、一部事業では県や市の補助を受けている。

 山下和久会長(61)=同市細野町中上、農業=は「当初思っていた以上に活動の成果が上がっている。加茂谷の魅力を発信し、さらに移住者を呼び込みたい」と力を込めた。