新聞に折り込むサイズはB4判。朱色の単色刷りで「1玉99円」「肉半額」と太っ腹な文言がひしめく。徳島市内の生鮮食品スーパー「がんばりや」の特売チラシは一見何の変哲もないが、ほかの店とはいささか異なる。特徴は、毎回欠かさないメッセージ文である

 上端と下端に置いた縦7ミリ、横37センチの細長い枠に、200~400文字でびっしり。最近の文にはこうある。<空を見上げて深呼吸しよう><苦しい時は自分が変わる時>。温かい話題しか載せない

 吉田茂社長(61)が自己啓発本から引用したり、体験談をつづったり。きのうの父の日は、いつもと趣向を変えて亡き父への思いを書いた。市内2店舗で週2日発行し続け、四半世紀近くになる

 特売チラシは商品の情報をとことんまで盛り込むのが普通だ。貴重なスペースを割いて載せるのには、わけがある。「商売は道徳だと思うんです。お客さんに役立つことをあれこれ伝えたい」と吉田さん

 阪神大震災のあった1995年に創業した。世相が暗くても「頑張って」と励まし合う、そんな理想を店名に。吉田さんは、頑張る源は個性だと言う。「自分の土俵で自由にやらせてもらいます」

 四国の梅雨入りはなぜか遅れているものの、じめっと蒸し暑い。けれど吉田さんの底抜けに明るい言葉で、気分はからりと晴れわたる。