犯罪捜査への活用方法が議論を呼んでいる衛星利用測位システム(GPS)端末を、徳島県警が4台保有していることが7日、分かった。警察庁はGPS端末を使った捜査を裁判所の令状を必要としない「任意捜査」と位置付けており、プライバシーの侵害に当たるかどうかが各地の裁判で争われているが、県警は「現時点で捜査に使用したことはない」としている。
県警によると、保有するGPS端末は車の盗難対策用などとして市販されている小型発信器で、数年前から県費でレンタルし、県警本部に配備している。端末の現在位置をパソコン画面の地図上で確認することなどができる。
全国的には捜査対象者の車にGPS端末をテープで貼り付けるなどして、捜査に利用した例がある。県警幹部は「GPS捜査が必要な場合は、慎重に判断した上で(使用の要件や手続きなどを定めた)警察庁の通達に従って運用することになる」と言う。
一方で県警は、被害者保護対策ではGPS端末を実際に使っている。ドメスティックバイオレンス(DV)やストーカーの被害者に端末を持たせ、緊急時に警察官が素早く駆け付けられるようにしており、2016年は7人に貸し出した。
GPS捜査を巡っては、警察庁が06年に都道府県警に出した通達で、GPS端末の使用を取り調べで容疑者に明かさないなど秘密の保持を指示していたことが判明。令状に基づかない端末の設置がプライバシーの侵害に当たるとして各地の公判で違法性が問われ、裁判所の判断も割れている。最高裁大法廷が春にも統一判断を示すとみられる。