皆さんの母校はありますか。少子化が進み、各地で小中学校の廃校が相次いでいる。そんな中、廃校の危機を乗り越え、児童数が増加した小学校が栃木県にある。その復活劇はドキュメンタリー映画になった。15日、関西でも上映が始まり、足を運んだ。タイトルは「奇跡の小学校の物語~この学校はなくさない!」。

 舞台となったのは、栃木県宇都宮市立城山西小学校。児童数の減少から複式学級となり、市から「5年以内に複式学級が解消しなければ統廃合」との方針が打ち出された。地域住民は「何とかしなければ」と立ち上がる。同じ頃、赴任した校長が地域住民と連携し、次々と魅力ある学校づくりに向けた対策を打ち出す。校庭にある枯れかけていた樹齢400年の桜の復活、文化人を招いた授業、地産地消の給食…。校区外からも通える小規模特認校制度を活用し、児童たちを呼び込んだ。35人にまで減っていた全校児童数は増加に転じ、100人を超えるまでになったという。

 初日の上映では、映画を制作した監督と地域住民の代表が舞台あいさつに訪れた。住民の代表は「大したことはしていない。みんなが学校を守らなければと思っただけ」と控えめに語った。終了後に少し話を聞いた。「どこの地域でも、学校を残してほしいと思っている。ただ、それがなかなかできない。なぜできたのか」と質問すると、代表は「学校がなければ地域の未来はない。子どもを通わす学校がなければ、住まないでしょ。何とかして地域を未来につなげようという思いを多くの人が持ってくれたから」と話した。

 廃校に直面する学校の事情は地域によって違う。城山西小学校は、人口の多い県庁所在地の郊外にあり、校区外からでも車で通える範囲という立地条件もあったように思う。同じような取り組みをすれば、廃校危機を脱せるわけではない。ただ、何らかのアクションを起こさなければ、学校を守り残すことはできないのは確かだろう。

 徳島新聞が2016年度に調べた時には、県内24市町村村立小学校の数は、10年前から44校減っていた。少子化や過疎化に加え、「平成の大合併」で周縁部の過疎が進んだことや、自治体の垣根がなくなって統廃合しやすくなっていることが要因としてうかがえ、合併によって学校数の減少が加速している側面も浮き彫りになった

 映画を制作した監督は「全国共通の課題。映画を通して、考えるきっかけにしてほしい」と呼び掛けた。学校を守るのは容易ではない。でも学校がなくなってからでは遅い。ちなみに、私の母校は随分前に廃校になり、今は校舎もない。(卓)