傘はかつて権力の象徴だった。古代オリエントの彫刻や絵画には国王の頭上にかざしている場面が描かれている。権力者が天空に覆われ、守られていることを表したとも言われる

 その傘が香港では反権力のシンボルとなっている。5年前、若者らによる大規模な民主化デモが起きた時、警官隊の催涙スプレーから身を守るために使われ、「雨傘運動」と呼ばれた

 再び香港で若者らが傘を持って蜂起した。中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に反発。デモに200万人近くが集まったという。香港政府は審議延期を表明したものの、断固撤回はしないようだ

 住民無視のごり押しは、日本政府にも通じるところがある。地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備を巡り、秋田市の陸上自衛隊演習場を「適地」とした調査に誤りが発覚した。調査があまりにずさんで、住民が撤回を求めるのも無理はない。だが、防衛省はこれに耳を貸そうとしない

 候補地の秋田、山口両県は北朝鮮からグアム、ハワイに向かう弾道ミサイルの軌道の下。米国のための配備では、との疑念も湧く

 イージス・アショアは本体だけで1千億円を超え、最新鋭ステルス戦闘機F35B、オスプレイと爆買いが続く。米国に「核の傘」で守ってもらう代償か。随分高額な傘である。