徳島県議会6月定例会が19日、開会する。4月の選挙で5選を果たした飯泉嘉門知事と、改選された県議にとって選挙後初の定例会となる。

 東京一極集中の是正と地方活性化を目指す「地方創生」の掛け声は、5年前に発せられた。しかし、その後も一極集中は一向に歯止めがかかっていない。

 徳島県の人口を見ても、この5年間で3万3000人減り、76万人台が73万人台となった。

 県の施策も、効果は限定的だったと言わざるを得ない。知事と県議は、これまでの取り組みに足りなかった部分は何かを徹底して議論し、新たな任期中に確かな道筋がつけられるよう、強い危機感を持って取り組む必要がある。

 知事は「人口減少」と「災害列島」を、直面する二つの国難と位置付け、選挙中、その対応に力を入れる考えを強調した。人口問題に関しては、企業によるサテライトオフィスの県内開設が全国でも先駆的に進んだ実例などを挙げ、「徳島が全国の羅針盤に」と主張した。

 これら選挙中の訴えを反映した2019年度一般会計補正予算案が今議会に提案される。当初予算が知事選を前にした骨格編成とされたため、今回の補正分を合わせた予算が通年予算となる。

 当初と補正の両予算案には、人口減対策として▽県内就職者への奨学金返還支援制度の拡充▽移住者らへの支援金制度創設▽都市部に住みながら地域に継続的に関わりを持つ「関係人口」の増加に向けたファンづくり▽各種イベントと連動させた宿泊事業―など数々の施策が並ぶ。

 ただ「全国の羅針盤」と呼ぶにふさわしい事業は見当たらない。こうした施策はどんな効果が見込め、徳島をどう活性化させるのか。議会は一つ一つを厳しくチェックすべきだ。

 19年度県予算は、骨格編成の当初段階から、災害対策の名の下に公共事業予算が大幅に増額された。限られた予算の中、この妥当性にも議論の余地がある。

 東京一極集中の是正に向けた取り組みでは、消費者庁の徳島移転に関して、政府の方向性が示された。徳島県庁に設置された消費者行政新未来創造オフィスが、20年度から恒常的拠点として拡充される。県の積極的な協力を受け、オフィスが取り組んできたプロジェクトが評価された結果だ。

 しかし、県が求めてきた全面移転の可否には触れられていない。節目を迎えた消費者庁誘致に、県が今後どんな戦略で臨むのか。大いに意見を交わしてほしい。

 5期目となる飯泉県政は、行政の硬直化や意思決定の独善化など、長期政権の弊害が選挙戦で指摘された。一方、県議会に対してはオール与党化との批判が常々ある。

 新任期早々、県民の冷ややかな視線が注がれることのないような議論を求めたい。