明治の初め、警官は交差点に「立番」をするのが、一般的な職務だった。やがて「巡査派出所」が各地に建てられ、交代で勤務することから「交番」と呼ばれるようになったという。今や海外でも「KOBAN」で知られる

 そのきっかけをつくったのが、米国の学者デイビッド・ベイリーさんが40年ほど前に著した『ニッポンの警察』。そこには各地の交番を訪れた時の驚きが記されている。<お金をなくしたり、夜の街で使いすぎたりして交番へ行くと、家に帰るのに必要なお金が借りられる>

 そんな場所で惨事が起きた。大阪府吹田市の交番で巡査が包丁で刺され、拳銃が強奪された事件である。逮捕された容疑者は否認しており、動機は見えない

 ただ、綿密な計画性がうかがえる。巡査らを出動させて手薄になった交番を襲おうと、犯行直前に虚偽の空き巣被害の110番通報をしたとみられている

 各地で交番を襲撃する事件が相次いでいる。昨年6月に富山市で、その3カ月後には仙台市で、いずれも勤務中の警官が襲われ刺殺された

 ベイリーさんは交番をこう評している。<危急の際の援助者にとどまらず、その地域に奉仕する機関にもなっている>。地域に開かれていることがかえって弱点になってしまう。そこにつけ込んだ凶行が増えていることに暗たんたる思いになる。