安倍晋三首相と立憲民主党の枝野幸男代表、国民民主党の玉木雄一郎代表、共産党の志位和夫委員長、日本維新の会の片山虎之助共同代表による党首討論が行われた。

 今国会では初めてで、昨年6月以来、約1年ぶりの開催である。

 野党が追及したのは、国民の年金への不信感を高めた老後資金に関する金融庁審議会の報告書だ。受け取りを拒否した政府の対応を「隠蔽体質だ」などと批判した。

 これに対して安倍首相は、年金制度は「100年安心」と主張し、議論はかみ合わなかった。

 会期末を来週に控え、与党が予算委員会の開催に応じなければ、今国会での与野党直接対決はこれが最後となる。

 年金制度の将来を案じる国民には肩すかしとなった。与野党は参院選を通じて、あるべき制度の姿を示し、議論を深めなければならない。

 枝野氏は、首相が国民の不安に正面から向き合っていないと断じ、医療や介護を合わせた世帯ごとの自己負担額に上限を設ける「総合合算制度」の導入を提案した。

 玉木、片山両氏は報告書受け取り拒否を批判。志位氏は高所得者の年金保険料を増やし、給付水準を維持すべきだと主張した。

 一方、安倍首相は自身の政権下での経済成長や2004年の年金改革の内容などを挙げ、年金制度は維持できると強調した。

 だが、説明は通り一遍で説得力に欠けた。

 やはり野党が求めたように、年金財政の健全性を検討する5年に1度の「財政検証」を早期に公表する必要がある。

 玉木氏は討論で、今回の財政検証で「100年安心」が揺らぐのではないかと、数字を挙げて指摘した。首相は答えを避けたが、公表が遅くなれば、参院選への影響を恐れて隠していると見られても仕方なかろう。

 実のある議論にならなかったのは、全体で45分しかない短さも要因の一つだ。持ち時間は最も長い枝野氏で20分、玉木氏は14分で、志位、片山両氏はわずか5分30秒ずつだった。

 安倍首相の長広舌や質問の意図のすり替え、はぐらかしも目立った。

 党首討論を巡っては、14年に自民党や当時の民主党など7党が、月1回開くことで合意した経緯がある。だが、一向に守られず、17年はゼロだった。

 こうした状況に、国会改革を目指す超党派の会議が昨年、2週間に1回開催し定例化するとの提言をまとめた。

 立民からは、質問者の発言時間だけをカウントする「片道方式」とし、野党側の質疑だけで2時間程度に延長する案も出されている。

 「言いっ放し」で消化不良の議論を続けていては、政治に対する国民の関心を遠ざけることにもなる。抜本的に見直すべきだ。