阿南市の食料品店兼住宅に侵入し現金を盗んだとして、窃盗と住居侵入の両罪に問われた本籍兵庫県伊丹市、住所不定、無職の男性(64)の判決公判が19日、徳島地裁であった。坂本好司裁判長(藤原美弥子裁判長が代読)は「鑑定資料と被告人のDNA型との同一性が不十分」とし、無罪(求刑懲役3年6月)を言い渡した。男性は即日釈放された。

 判決理由で坂本裁判長は、現場から見つかった汗由来のDNA型から抽出した遺伝子情報について、會町被告のものと一致したのは16項目のうち11項目のみと指摘。「被告人のものである可能性は高いものの、別人のものである疑いが否定できない」とした。

 窃盗被害の翌日、男性が現金36万円を自身の口座に入金したことにも触れ「ギャンブルで得たとの供述は具体性を欠き不自然で犯人である可能性は高い」としたが、「窃盗をしたと認めるには合理的な疑いを払拭できない」と結論付けた。

 男性は2018年3月1日夜から翌朝までの間、食料品店兼住宅に侵入し現金173万円を盗んだとして、同年8月に起訴された。

 公判では「身に覚えがない」と一貫して否認し、無罪を主張。判決後、弁護人の篠原健弁護士は「『疑わしきは罰せず』の原則にのっとった判決で、満足している」と話した。

 徳島地検の花輪一義次席検事は「判決内容を検討し、上級庁と協議の上、適切に対応する」とコメントした。