千人を超える外国人留学生が所在不明になっている東京福祉大が、新規の留学生受け入れを見合わせるよう指導を受けた。文部科学省は、私学助成金の減額や不交付も検討するとしている。

 留学生の中には、当初から就労を目的に入学し、不法残留となったケースもあるとみられる。ずさん極まりない在籍管理を続けた大学の責任は重い。

 東京福祉大の留学生受け入れは、2016年度から極端に膨れ上がっていた。であれば文科省の対応に不備はなかったか。各大学から出される報告書をしっかりと精査していたら、より早く事態に対応できていたはずである。

 大量の所在不明者が出たのは、大学の正規課程に進む準備段階として設けた「学部研究生」と呼ばれる課程だ。

 東京福祉大では、16年度からの3年間で5764人に上る留学生が在籍しており、この間に1113人の所在不明が出ていた。このほか退学、除籍も450人以上いたというから、異常事態と言わざるを得ない。

 文科省の調査では、大学側の受け入れ態勢の不備も明らかになってきた。

 留学生の日本語能力や経済状況をきちんと調査しないで入学志願者の大半を合格させていたほか、授業に出てこない留学生への指導もほとんどなかったという。

 こうした点から浮かび上がるのは、教育にコストをかけず留学生をかき集める利益優先の運営実態である。

 国は、留学生の在留管理を徹底する新たな制度を導入する方針だ。関連省令などを早急に改正し、こうした事態が二度と起こらないよう対応してもらいたい。

 その上で、学部研究生として留学生を受け入れる際は、大学レベルの講義が理解できるだけの日本語能力があるかどうか、各大学に確認を徹底させる必要がある。

 在籍管理の徹底は、研究生だけに限らない。日本語や日本の文化、教養を学ぶ「留学生別科」においても、教育の質を維持するための基準を設けてはどうか。

 東京福祉大の所在不明問題は、留学生30万人計画を掲げて外国人の積極的な受け入れを進めてきた国の政策にも影響を及ぼすだろう。

 とはいえ、ずさんな在留管理を放置したままでは、国民の理解は到底得られない。地域の安全・安心にも影響を及ぼしかねない事態である。海外から優秀な人材を確保するためにも、国は受け入れ制度の信頼性を高めていかなければならない。

 一方、東京福祉大は、十分な語学力を身に付けられないまま日本語学校を卒業した留学生の「受け皿」になっていた側面もある。

 国は、日本語学校の質のばらつきを改善したり、奨学金制度を充実させたりして、留学生が過度のアルバイトをしなくても学業に集中できる環境を整えてほしい。