トランプ米大統領が、2020年11月の大統領選で、共和党候補として再選を目指す考えを正式に表明した。

 トランプ氏は、フロリダ州オーランドで開いた大規模集会で演説し、選挙の新たなスローガンとして「キープ・アメリカ・グレート(米国を偉大なままに)」を掲げると発表した。

 前回大統領選で打ち出した「米国第一」主義に基づき、厳格な不法移民対策とメキシコ国境での壁の建設を推進する考えも重ねて示した。

 その一方で、21年から4年間の次の任期に向けた新たな政策構想は明示しなかった。

 今のところ、トランプ氏は「岩盤支持層」とも言われる白人を中心とする支持者に強く訴え掛けることで、選挙基盤を固める構えのようだ。

 だが、現状では、再選への道は険しいと言わざるを得ない。共和党に有利な結果が出やすい保守系のFOXニュースの世論調査でも、トランプ氏の支持率は39%にとどまっており、民主党の有力候補であるバイデン前副大統領の49%を10ポイント下回った。

 これでは到底、トランプ政権が国民の幅広い支持を得ているとは言えないだろう。

 17年1月に大統領に就任した後、トランプ氏は環太平洋連携協定(TPP)や、地球温暖化防止の国際的枠組みである「パリ協定」からの離脱を宣言した。

 安全保障面では、ロシアとの中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄を決定し、イランが欧米など6カ国と結んだ核合意からも離脱した。

 それだけではない。イスラエルの占領地であるゴラン高原でのイスラエルの主権を承認し、米大使館をエルサレムに移転させた。これらの措置が、イスラエルと対立する国々の強い反発を呼ぶのは当然であろう。

 米国が仕掛けた中国との貿易戦争も世界経済の大きな懸念要因となっている。

 国際秩序を混乱させ、国家や民族間の対立に油を注ぐような政策に、国内外から不信の目が向けられるのは無理のないことである。

 ただ、白人労働者たちのトランプ氏に対する熱狂的な支持は変わらない。前回大統領選で、当初は泡沫候補と見られたトランプ氏を大統領の座に押し上げた支持勢力は健在であり、政策遂行の原動力となっていると言える。

 4年ぶりの政権奪還を目指す民主党の候補者選びはこれからだ。

 大統領選では、指名争いの段階から各候補者の資質が徹底的に吟味される。どんな有力候補でも、スキャンダルや失言で勢いが失速するリスクがある。

 同時に、前回のトランプ氏や、08年のオバマ氏のように予想外の候補が急浮上する可能性もある。

 それだけに先は見通せない。大統領選の行方は世界の貿易体制や安全保障に大きな影響を与える。今後の動向から目が離せない。