外国人への日本語教育推進を国や自治体の責務と定めた「日本語教育推進法」が、今国会で成立した。多様な文化を尊重した、活力ある共生社会の実現を目的としている。

 これまで日本語教育の担い手は、国際交流団体や事業主、日本語学校が中心だった。各自治体の取り組みは、やる気と財政力に左右されていた。日本語習得への一体的な支援が、法律で裏打ちされた意義は大きい。

 高い理念は掲げても、具体的な政策をどうするかは今後の課題だ。政府は、関係省庁で設立する「日本語教育推進会議」を核に施策づくりを進め、着実に実行していかなければならない。

 2018年末時点の在留外国人は、過去最多の273万1093人となった。国は、外国人就労を拡大するために新たな在留資格「特定技能」を創設し、今後5年間で34万5千人の受け入れを想定している。

 外国人材を増やす国策と、言葉の壁に悩む人々への支援は切り離せない。人種や文化の違いを超えて理解し合う「共生」を目指すなら、言葉の克服は最優先の課題である。

 就労のために来日した外国人を取材すると、一様に日本語の難しさを訴える。文化や自然に親しみを持っても、言葉の壁の高さから、英語圏での就労を希望する人が多い。

 外国人にとって難しい一番の理由は、漢字である。例えば「日」を「ひ」と覚えても、日曜日、一日、元日、八日、昨日と読み方はさまざま。われわれ自体が、そうした漢字文化の特異さを自覚していないのではないか。

 「習うより慣れろ」「暮らすうちに何とかなる」の思い込みを捨てないと、地域社会での孤立や学校でのいじめは防げない。

 日本語教育の推進には、日本語教師の育成が量的にも、そして質的にも必要だ。日本人なら誰でも日本語を教えられる、という安易な考えを捨てなければならない。

 文化庁によると、17年度の日本語学習者は約23万9千人。教師数は約3万9千人だが、その6割がボランティアだという。

 日本語教師には公的な資格がなく、給与などの待遇に恵まれていない。やりがいを見出しても、定着が難しいのが現状だ。

 日本語教師が職業として成り立つために、どのような改革ができるのかを早急に検討すべきだ。公的な資格制度を整備するなど、責務の重さに見合う技能と処遇を確保しなければならない。

 外国人材が専門性の高い分野に進出すれば、日本語教師にもそれに応じた「教える力」が必要になる。

 例えば、需要の高い介護分野で働く外国人介護士にとって、難解な医療用語が新たな壁になる。介護福祉士試験は問われる内容以上に設問の言葉自体が難しい。専門性に通じた教師養成など、将来を見据えた施策が求められる。