肺炎球菌は呼吸器系の感染症(肺炎)を起こす代表的な細菌です。医学が発達した現代でも肺炎は死亡原因の上位を占める重要な疾患です。今月は肺炎球菌について考えてみました。

 肺炎球菌は強い病原性を示す細菌で、発病すれば高熱などのひどく重い症状を示すことが知られています。乳幼児が発熱した時に多くの人が不安に思って救急受診するのはこのような重症の細菌感染を心配するからです。小児では肺炎の他に髄膜炎や中耳炎などの原因菌となることがあります。

 肺炎球菌は健康な乳幼児の鼻咽頭粘膜に定着します。定着した肺炎球菌が中耳や副鼻腔、気管支や肺胞、鼻咽頭の粘膜下から血液中へ侵入して感染症を発病するとそれぞれ中耳炎・副鼻腔炎、気管支炎・肺炎、菌血症などとなります。

 菌血症では血液を介して肺炎球菌が全身臓器に広がりますから髄膜炎や関節炎、肺炎、腹膜炎などの感染症を発病します。本来、細菌の存在しない血液中や髄液、関節腔などに発生した感染症を侵襲性感染症と呼びます。小児の侵襲性感染症は重症で、特に細菌性髄膜炎は生命に関わることや治っても後遺症に苦しむこともあります。

 以前の報告ですが中耳炎の約30%、菌血症の約70%、細菌性髄膜炎の約20%で肺炎球菌が原因になると言われています。

 肺炎球菌はペニシリンなどの抗菌剤に対して耐性菌が多く、罹ってしまうと治療に難渋します。肺炎球菌が鼻咽頭粘膜に定着する前に予防接種を受けることが大切です。