肺炎球菌は重症細菌感染症の原因菌であり、抗菌剤に対する耐性菌が多く、一度感染して発病すると治療に困難な場合が多いものです。

 肺炎球菌は乳幼児期に鼻咽頭粘膜に定着して、抵抗力や体力が低下した時に発病することが知られています。定着した肺炎球菌が鼻咽頭粘膜に存在しているだけで発病していなければ保菌者であり、病気ではありません。しかし肺炎球菌が定着すれば発病する危険性が常にありますから定着する前にワクチンで予防することが大切です。

 肺炎球菌はその表面に莢膜多糖体(莢膜)と呼ばれる物質があります。この莢膜には白血球の貪食作用などの人の免疫防御機構を阻止する働きがあります。肺炎球菌の莢膜には90種類以上の血清型があるとされます。

 肺炎球菌ワクチンはこの莢膜多糖体に対する抗体を産生するワクチンです。現在使用されている小児のワクチンには13種類の血清型に対する免疫抗体を作ることが出来ます。

抗体を産生した子どもの鼻咽頭粘膜に肺炎球菌は定着できません。肺炎球菌が定着できなければ菌血症から始まる侵襲性感染症の発生を予防することが出来ます。

 日本で肺炎球菌ワクチンが定期接種化されたのは2013年です。以後、肺炎球菌による細菌性髄膜炎の発生は4分の3程度まで減少しています。髄膜炎以外の侵襲性肺炎球菌感染症も確実に減少しています。

 肺炎球菌ワクチンは生後2か月になれば接種可能です。肺炎球菌が保育所や家庭内などの集団生活で感染して、鼻咽頭粘膜に定着する前に出来るだけ早くワクチンを接種することが大切です。