徳島県の方言の番付表

 先日、アスティとくしまを訪れると、玄関付近に徳島県の方言の番付表が掲げられていた。これがなかなかおもしろい。かつては医薬品会社のCMで、商品に合う「優しい」イメージに合うとして全国の方言から選ばれ、元AKBの大島優子さんが使っていたこともある「阿波弁」。皆さんは、どれだけ知ってますか。いや、どんだけ知っとうでえ。

 番付表は、徳島大の教授と学生らが「使われずに消えてしまいつつある方言も多い。温かみがある阿波弁の良さを受け継ぐことで、若者の郷土愛の醸成にもつなげたい」として作った。260語が大相撲の番付表の同様に並んでいる。

 東の横綱「いけるで」(大丈夫ですか)、西の横綱「せこい」(苦しい)は、徳島県人なら納得だろう。幅広い世代で使われ、思わず「言う、言う」との声が聞こえてきそう。

 三役も、うなずかれる人は多いのではないだろうか。大関は「しんだい」「(けだるい・面白くない)と「おもっしょい」(面白い)。関脇は「どくれる」(ふてくされる)と「せられん」(してはいけない)。小結は「もんてきー」(帰っておいで)と「めんどい」(難しい・面倒くさい)。

 以下は前頭だが、下位にいくほど、マニアックなものも見られる。世代や地域によっても異なるため、徳島県人でも難解な阿波弁が並ぶ。

 最下段をいくつか挙げたい。「いんでくる」「こんこ」「ぬくい」「よたんぼ」「のーなる」…。比較的分かりそうなものを選んだが、どうだろうか。若い人はあまり使わないだろうか。ちなみに「帰る」「たくあん」「暖かい」「酔っ払い」「無くなる」の意味だ。

 方言は、地方の貴重な文化と言われるが、東京に訪れた時や他県の人と話す時は、通じなかったり恥ずかしさもあったりする。私も東京の大学に進学した際、言葉には苦労した。当初は標準語がなかなかなじめず、口数が少なくなり、アパートに帰った後、同郷の友人に電話して阿波弁でしゃべりまくったものだ。そんな中、一切標準語を使わず、阿波弁で通していた先輩がいた。自分のことを「わいはな、」などと言い、相手に通じていようがお構いなしだった。その堂々とした姿は、すごかった。

 就職で徳島に戻ってきてからは、もちろん阿波弁で話している。やはり生まれ育った土地の言葉はいい。着飾ることもなければ、遠慮することもない。何とも言えない響きが落ち着く。徳島を離れた人がもし読んでくれていたら、こんなやりとりはどうだろう。「えっとぶりにちっかでも食べながらくんだらせえへんでえ。仕事はほっといてもかんまんけん、うちんくきーだ」。少しは懐かしんでもらえただろうか。それとも忘れてしまって理解できなかっただろうか。私は阿波弁が大好きである。(卓)