第25回参院選があす公示される。

 選挙区74、比例代表50の計124議席を与野党が争う。

 過去を振り返ると、参院選の敗北をきっかけに、1998年に橋本龍太郎首相、2007年には安倍晋三首相が退陣している。政権選択ではないものの、今後の政治を左右する重要な選挙である。

 改選を迎える議員は、6年半の第2次安倍政権の歩みとほぼ重なり、「安倍政治」そのものを評価する意味を持つ。おごりや強引さが指摘される長期政権の是非が問われよう。

 野党は32ある「1人区」全てで候補者を一本化した。各党で政策に隔たりがあり、野合との批判もある。巨大与党に対抗するための選挙戦術がどこまで理解されるかも注目される。

 国会閉幕以降、各党党首や候補予定者らが舌戦を繰り広げており、与野党の対立軸が見えてきた。

 安倍首相は「政治の安定」を図るか否かを争点に位置付け、野党は年金、消費税増税といった「暮らし」に重点を置く構えだ。

 クローズアップされているのが、国会終盤に持ち上がった年金問題である。老後に夫婦で2千万円の蓄えが必要と試算した金融庁審議会の報告書を巡り、年金制度への不安や不信が噴出し、一気に争点化した。

 この報告書を、諮問した麻生太郎金融担当相が受け取らなかったことに、与党は異を唱えないばかりか、野党の予算委員会開催の要求にも応じなかった。国民の関心の高い問題だ。選挙戦では逃げずに論議すべきである。

 与党は「政策論議で取り上げるに値しない」(岸田文雄自民党政調会長)と、報告書の打ち消しに躍起で、年金財政の基盤は強固だと訴えている。野党各党はこの機を捉え、老後の安心確保に向けた独自策を公約に盛り込んだ。

 少子化の進展で、年金の先細りは避けられない。将来不安が高まる中、年金制度をどう維持していくのか。道筋を示さなければならない。

 消費税引き上げについても対立が鮮明だ。与党は10月実施を堅持する一方、野党は反対で足並みをそろえる。社会保障の給付と負担のバランスを正面から議論する好機といえる。

 また、自民は9条への自衛隊明記などの憲法議論推進を公約に盛り込んでおり、改憲発議に必要な議席を確保できるかどうかも注目点だ。

 自民は勝敗ラインを与党で改選過半数の63と低めに設定しているが、参院で改憲勢力の3分の2以上を維持するラインは86議席となる。日本維新の会を除く野党は9条改正に反対しており、投票の判断基準の一つとなろう。

 21日の投開票日に向けて、各党は、掲げた公約を分かりやすく説明し、骨太の論戦を展開してもらいたい。

 年金問題から目そらすな

 <2019・7・3>