薬物依存症者の回復に取り組む民間団体「徳島DARC(ダルク)」が18日、徳島市のふれあい健康館でフォーラムを開いた。約100人が参加。専門家の講演や患者の体験談などを通じ、依存症への理解を深めた。
依存症治療の専門医である藍里病院(上板町)の吉田精次副院長と、徳島ダルクを支援する瀧誠司弁護士らが講演した。
吉田副院長は「依存症者は、自分ではどうしようもない状態でも、本当はやめたいと必死にあがいている」と指摘。家族ら周りの人が心掛けることについて「『やめなさい』と圧力をかけるのではなく、声にならない叫びに耳を傾け、フラットな関係で生きていくことを目指すべきだ」と訴えた。
瀧弁護士は、依存症者を排除するのではなく、立ち直りと自立を促す社会を確立することが重要だと強調。刑の途中で刑務所から出所させ、社会の中で回復・治療させる「刑の一部執行猶予制度」に触れ「法律の世界もようやく依存症に対する認識が変わり始めた。支援の輪を広げていきたい」と話した。
依存症者や家族による体験談もあった。覚醒剤に手を出した男性は、やめられない苦しさから何度も自殺を図った経験を明かし「ダルクとつながり、不思議と薬物を使わなくなった。今後も仲間と共に歩んでいきたい」と語った。
徳島ダルクは2013年12月に開設。現在、徳島と香川にある施設で入所者16人が共同生活を送っている。