天皇の地位が安定して受け継がれていくには、どうすればいいのか。将来、後継ぎがいない事態になりはしないか。退位された上皇さまを長年悩ませた難問だ。その思いは、天皇陛下や秋篠宮さまに引き継がれている。

 憲法の制約上、天皇は皇位に関わる権限を持っていない。主権者である国民が真剣に受け止め、その代表である国会の議論に託すしかない。

 参院選を前に野党各党が掲げた公約や見解には、この問題への考え方が盛り込まれた。事柄の性質上、表立って争点とするのは避けているが、選挙戦の行方は、秋以降に想定されている国会での論議に影響を与えるだろう。

 皇室典範の規定では、皇位継承資格は男系の男子に限られている。女性だけでなく、母方のみが天皇の血筋につながる女系も継承できない。

 陛下の長女愛子さまは男系の女子。一般の男性と結婚すれば、その子は性別に限らず女系となる。現状は秋篠宮さま、悠仁さま、常陸宮さまの3人だけに皇位を引き継ぐ資格がある。

 秋の国会論議に向け、論点を突き詰めれば3点になる。女性天皇▽女系天皇▽戦後皇籍を離れた旧皇族の皇籍復帰―を認めるか否か。

 女性天皇については、5月の共同通信の世論調査でも、賛成79・6%、反対13・3%。この傾向は長く変化が見られず、世論は一貫して女性の即位に好意的だ。

 126代とされる皇統でも、女性天皇は10代、8人いる。しかし、女系天皇は存在せず、安倍晋三首相を含め「伝統重視」を訴える自民党保守派にとって、絶対に譲れない一線になっている。

 女性天皇や女性宮家創設も女系容認につながる恐れがあると否定的だ。旧皇族男子の皇室入りに打開策を見いだしたい考えだが、応じる人物が存在するかどうか未知数だ。

 立憲民主党と共産党は、女性、女系とも認める見解を表明した。「秋篠宮さまの次の世代は悠仁さまだけで、先細りは避けられない」(立民)「男性に限定する合理的理由はどこにもない」(共産)としている。

 立民は、旧皇族について「現天皇との共通の祖先は約600年前にさかのぼり、国民の理解や敬愛を得るのは難しい」との見解を示している。

 国民民主党も女性天皇に賛成だが、「前例のない女系天皇は慎重に議論する」とし、立場が分かれている。

 自民党は正式見解を表明していないが、公示前のアンケートで、自民候補のうち女性天皇に賛成34・3%、反対22・9%とのデータもある。

 事態を動かすには、世論の支持があり、妥協の可能性がある選択肢から議論を深めていくしかない。皇位継承問題は、結婚相手として皇室入りした女性に重圧としてのしかかってきた。こうした現実への配慮も忘れてはならない。