見通しが甘かったと言わざるを得ない。

 徳島県が昨年2月に東京都渋谷区に開設した情報発信・交流拠点「ターンテーブル」の昨年度の収支が3796万円の赤字となった。当初の赤字見込み100万円の38倍に及ぶ。

 渋谷駅から徒歩で10分余りかかり、さほど人通りの多くない立地、万人受けしないコンセプトなどへの不安が指摘されていた。運営を委ねた業者に多額の税金をつぎ込む事業形態にも疑問の声が根強くある。

 県は経営改善を急ぐ意向だが、多くの問題をはらんだ事業を、根本から再検討する必要があるのではないか。

 この事業では、運営業者が探した民間ビルを、県が2億3千万円かけて改修し、年間5千万円で賃借。運営業者が毎年2千万円を県に納める。差し引きした3千万円が県の負担で、県はこれを情報発信とブランド力強化にかかる経費と位置づける。

 問題は、3千万円に見合う効果があったかどうかをどう検証するかだ。飯泉嘉門知事が昨年1月の定例会見で述べたように、年間利用者数や物販金額、県産食材の販路拡大量で見るほかない。

 県は収支ラインを宿泊、レストラン両部門は年間9千人、バル・マルシェ部門は1万人と設定。宿泊は1万3684人、バル・マルシェは1万2878人とクリアしたが、レストランは5019人と大きく下回った。

 金額ベースで見ると、レストランは目標額9千万円に対し実績は3507万円と低迷し、バル・マルシェも4900万円に対し2770万円と振るわなかった。

 県はこの部門別の売り上げ目標を公にしておらず、宿泊については「運営業者は目標額を設けているが、把握していない」とする。売り上げの経過も「月ごとにばらつきがあり、数字が独り歩きしてはいけない。年度ごとに発表する」と明らかにしてこなかった。

 確かに、施設の効果を見る指標として、利用者数は大きな要素ではあるが、売り上げを無視していいわけがない。一般企業では通用しまい。

 レストランとバル・マルシェでは県内産の食材、品物が扱われている。その売り上げ経過は県産品の人気のバロメーターとなる上、運営業者の経営状態もつかめる。それを示さないのは「赤字隠し」と見られても仕方ない。

 今回の赤字の理由として、県は、レストランのメニューや価格が客のニーズに対応できなかったことを挙げるが、これは当初から県議会などで指摘されてきたことだ。こうした声をしっかりと受け止めていれば、ここまで赤字が膨らむことはなかっただろう。

 そこには血税を扱っているという責任感が見えない。県の姿勢は情報公開に後ろ向きで、県民の目をごまかそうとしているようにも映る。このままでは事業への理解は得られない。