人口減少の抑止や東京一極集中の是正を目指す安倍政権の看板政策「地方創生」が、5年計画の最終年度を迎えている。先月、第2期の基本方針も決まった。

 若者の流出を伴う人口減少は、地方が抱える重大な懸案だ。参院選は地方創生の第1期を検証し、今後の進め方を議論する絶好の機会である。

 第1期はこれまで、期待された成果が得られていない。

 総務省の調査で、国内日本人の人口は10年連続で減少。一方で昨年、東京圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)では転入が転出を14万人上回った。

 政府は2020年までに東京圏と地方との転入、転出を均衡させる狙いだった。しかし、東京圏の転入超過は17年より2万人増え、一極集中は一段と加速している。目標達成は絶望的だ。

 徳島県の人口は1950年の約87万9千人をピークに、今年5月の推計では73万人余に減った。昨年は2500人余の転出超過だった。20代を筆頭に若い世代が多く転出している状況を、何とか解消したい。

 目玉施策である政府機関と企業の地方移転は、実績が乏しい。

 中央省庁の大規模移転は、京都府への文化庁だけだ。東京23区からの企業移転も5月末時点で約330件にとどまり、目標の7500件には遠く及ばない。

 本県が要望している消費者庁の全面移転は見送られ、県庁に期限付きで設置している「消費者行政新未来創造オフィス」の常設化にとどまっている。

 納得できないのは「監督対象となる企業が首都圏に集まっていて、徳島に移転すると機能を十分果たせない」とする政府の説明だ。企業が東京に集中しているから省庁を移転できない、というのは本末転倒ではないか。安倍政権の本気度が疑われる。

 各政党は、こうした地方創生の実態をどう認識し、新たにどんな対策が必要と考えているのか。有権者が聞きたい主張は山ほどある。

 与党の自民、公明両党は、引き続き東京一極集中の是正を目指す。公約には、自民は小型無人機ドローンを使った宅配、公明は地方で都市部の医師の診断を受けられる遠隔医療の実現など、先端技術の活用を挙げたのが特徴だ。

 野党も一極集中是正では一致している。その上で、自治体が自由に使い道を決める「一括交付金」の復活(国民民主党)や、農業者戸別所得補償の再開(立憲民主党)、エネルギーの地産地消(共産党)などを打ち出した。

 ただ、各党とも個別施策の訴えにとどまっていて、物足りない。主張がかみあわず争点化していないのも残念だ。

 求められているのは、企業と政府機関の地方移転の実現に加え、これに匹敵する大胆な策である。政治の決意を聞かせてもらいたい。