日本を訪れる外国人旅行者は年間約3千万人に上り、観光地では各国の言葉が飛び交う。ホテルや商店、交通機関では意思疎通が一苦労だ。

 言葉の壁に悩む人たちを支援するのが、日本語、英語、フランス語、スペイン語など世界74の言語に対応したAI通訳機「ポケトークW」だ。

 明石家さんまさんのCMでもおなじみ。手のひらサイズの通訳機は、2017年12月発売の初代モデルからの累計出荷台数が40万台を超えた。

 その開発責任者で、いわば”ポケトークシリーズ“の生みの親。「初めて会う外国語話者同士がコミュニケーションでき、世界128の国と地域で使える」と話す。

 操作は簡単だ。通訳機で2カ国の言語を選んで、2つのボタンを交互に押して話すと、ディスプレーに相手方の言語の翻訳文が表示され、音声が流れる。

 用途は海外旅行・出張、語学学習など幅広い。「個人利用が一番多く、ホテル、お店、JRなどの交通機関にも導入されている。国際結婚で、孫と祖父母の言語が一致しないときなど、親戚同士の会話にも使われる」と言う。

 訪日客のラッシュが予想される2020年東京五輪・パラリンピックや、25年大阪万博の需要も見込んでいる。

 徳島には年に1回、家族を連れて帰省する。「昨年は、阿波踊りの賑わいの中、桟敷でポケトークの音声認識ができるか実験した。問題なく使えた」と自信を見せる。

 父親は徳島ギター協会会長の川竹道夫さん(71)。「父からギターも習ったが、才能は開花しなかった」と笑う。

 古里の若者には「日本語の情報量は世界的にはとても小さいが、英語は日本語の何十倍もの情報に触れることができ、圧倒的なアドバンテージがある」と英語の必要性を強調し「日本でも海外でもいろいろな文化に触れ、違う価値観の人に会ってほしい」とアドバイスした。

 かわたけ・はじめ 徳島市出身。城北高校、九州工業大情報工学部電子情報工学科卒。2001年に、ソフト、ハードウエア開発・販売のソースネクスト入社。プロデュースグループを経て13年7月から現職。43歳。東京都在住。