うるさい、うざい、気が散る・・・。選挙カーでの候補者名の連呼は評判が悪い。だが、これには訳がある。走行中の選挙カーでは連呼以外してはいけないのだ

 選挙カーと言いながら、公職選挙法では車で選挙運動をすることを禁じている。ただ「自動車の上において選挙運動のための連呼行為をすることは、この限りでない」と定めている

 欧米の先進国では、選挙カーが名前を連呼して走り回る光景はまず見られない。ボランティアが一軒一軒回り、候補者の公約を記したパンフレットを手渡し、投票を呼び掛けるのが一般的なスタイルだ

 ところが、日本ではこの戸別訪問は御法度である。なぜか。起源は大正時代にさかのぼる。満25歳以上の全ての男性に選挙権が与えられた時、政治を十分理解していない有権者が急増し、買収などが懸念されたのだ。家の中では金品の授受があっても分からないため、戸別訪問の禁止が規定された

 その後、候補者名を知ってもらう手段として生まれたのが選挙カーによる連呼とされる。嫌われる連呼だが、集票に一定の効果があるとの研究結果もある

 このたびの参院選では合区の影響からか、県内で連呼をあまり耳にしない。公示直前のアンケートで、立候補予定者の名前を知らない県民は85%に上った。足を踏み入れていない票田が随分ありそうだ。