原発を動かし続けるのか、それとも脱原発にかじを切るのか。参院選で問われているテーマの一つだ。各党の主張に耳を傾けたい。

 政府は昨年7月、「エネルギー基本計画」を4年ぶりに改定した。

 その中で、原発はエネルギー供給の安定性に寄与する「ベースロード電源」との位置付けを変えず、発電割合を2030年度に20~22%にする目標も据え置いた。

 依存度を可能な限り低減させるとはしたものの、今後も原発を重視する姿勢を明確にしたと言えよう。

 自民党の公約は、この基本計画に沿ったものだ。原発については、原子力規制委員会によって世界で最も厳しい規制基準に適合すると認められた場合は、再稼働を進めるとした。

 だが、基本計画がうたう発電割合の目標達成は見通せないのが実情だ。

 東京電力福島第1原発の事故前に54基あった原発は、運転期間が原則40年に制限され、規制基準による淘汰もあって33基に減った。このうち再稼働しているのは5原発9基、発電割合は17年度時点で3・1%である。

 加えて、テロ対策施設の完成の遅れにより、来春以降、四国電力の伊方3号機など稼働中の複数原発に停止命令が出される公算が大きい。

 発電割合を20~22%にするには、約30基もの稼働が必要とされる。「安全神話」が崩壊し、厳しい目が注がれる中、自治体や住民の理解をどう得ていくつもりなのか。

 原発の新増設について、安倍晋三首相が明言を避けているのも気になる。公示前日の7党首による討論会で他の6人が「反対」に挙手したのに対し、首相だけ手を挙げなかった。

 新増設は経団連などが要望しているが、現実的とは言えまい。依存度を可能な限り低減させるとした基本計画とも矛盾しよう。首相は態度を明らかにすべきである。

 一方、自民以外の党は「原発ゼロ」や「脱原発依存」を掲げた。その上で公明、国民民主両党と日本維新の会は再稼働を条件付きで容認し、立憲民主、共産、社民各党は反対の立場を強調している。

 自民を含め各党とも一致しているのが、太陽光や風力など再生可能エネルギーの普及を拡大させることだ。原発依存度の低減やゼロを目指す以上、当然だろう。

 問題は、どう進めていくのかである。

 発送電を完全分離し、再生エネ事業者に送電線をさらに開放するといった公約を掲げる党もあるが、全般に具体的な道筋は見えてこない。

 再生エネ拡大は世界的な潮流であり、日本は後れを取っている。安定供給や電力料金の上昇を抑える対策も欠かせない。掛け声だけでなく、各党には現実的な方策を示すことが求められている。